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美人の獄 (金櫻堂、今古堂 発行より)(転載禁止)
ボア・ゴベイ作 黒岩涙香、丸亭素人 共訳翻案 トシ 口語訳
ボア・ゴベイ「メーブリック事件」の翻案小説
since 2015.9.6
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この作品は当て字が多いので、読みを振ると()だらけになるので当て字はなるべく止めて、読みに当たる現代の漢字に直しました。
難しい漢字には煩わしいかも知れませんが振り仮名を付けました。
原作には各回に見出しは付いていませんが、便宜上簡単な見出しを付けます。
美人の獄 黒岩涙香、丸亭素人 共訳
訳者前書き
英国に「美人の獄」と呼ばれた大事件があった。殆ど英国の上下社会を動かした。その事件の怪しく思われる事、その事情の憐れを感じさせる事、実にこの「美人の獄」に匹敵するものは無い。事柄は即ち美人がその所天(おっと)を毒殺した顛末である。毒殺したのか、毒殺はしていないのか、是は実に怪しみ疑うべきだ。罪人として獄に下されたのは、年未だ若い美人である。是は実に憐れだ。英国の上下社会が之が為に動いたのも無理は無い。唯だ動いたのは英国だけではない、欧羅巴(ヨーロッパ)全州、「美人の獄」と云えば、知らない者はない。知って疑わない者は無く、疑って憐れまない者は居ない。ここに説き出だすのは、即ちその事件である。疑うべきその裁判の結果と憐れむべきその美人の身の上である。
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